【スポーツカード投資】カードの選び方~価値が高まるポイントと選び方のコツ~
スポーツカード市場は、2022年に126億2100万ドルでしたが、それが2030年には230億8400万ドルに成長すると予想されています。年平均の予想成長率は約13%です。
コレクターは昨今増えており需要は拡大しているとされていますが、一方で供給は限定的です。そのため、市場の成長を含め、スポーツカード投資はオルタナティブアセット(株式や債券といった従来の資産の代替となる新たな資産)の一部として考えることができるかもしれません。
この記事では、スポーツカード投資を検討している方に向けて、スポーツカードの選び方を詳しく解説します。
スポーツカードの価値が高まるポイント
スポーツカードの価値は、他のコレクタブルアセット(収集可能な投資対象物)と同様に、市場の需要によって決まります。 それに加えて、希少性、カードの状態、場合によっては発行年月も重要な要素となります。
スポーツカードの価値が急騰するポイントとして、一般的に以下のようなものが挙げられます。
・MVP、レコード(記録)の更新、その他の偉大な成果
・殿堂入りする
・チームの栄誉と成果
・早期退職(または死亡)
・リーグの人気
・カードメーカーの状況(生産不足または生産過剰)
また、マイケル・ジョーダンのラストダンスのように、Netflixオリジナル作品が放送された後にカードが大ヒットしたというケースもあります。
つまり、将来的に上記のような状態になりそうなカードを選ぶことで、より大きな利益を得られる可能性があるということです。
スポーツカードの選び方
スポーツカードに投資する際は、以下のようなポイントでカードを選びましょう。
・人気・成績のよい選手のカードを選ぶ
・人気選手のルーキーカードを選ぶ
・年代にも注意して選ぶ
・カードタイプにも注目する
・過小評価されているカードを選ぶ
・グレードの高いカードを選ぶ
・好きな選手のカードを選ぶ
・長期保有できるカードを選ぶ
詳しく解説していきます。
人気・成績のよい選手のカードを選ぶ
一般的に、選手がリーグ内で獲得した賞や栄誉が多ければ多いほど、選手の人気が高ければ高いほど、マーケットプレイスでのスポーツカードの価値は高くなります。
人気選手のルーキーカードを選ぶ
人気や成績のよい選手のカードの価値が高いと説明しましたが、これは特にルーキーカード(その選手の最初のカード)に当てはまり、授賞式後には価値がさらに急上昇します。コレクターの一部ではこれを殿堂入り効果と呼んでいます。
たとえば、アメリカのフットボール界でトップクラスの年棒を獲得しているトム・ブレイディが引退を発表したとき、彼のルーキーカードの価格は急騰し、eBay(ECモール)では1枚が230万ドル(2023年11月現在の価格で約3億5千万)で取引されました。
つまり、現在または将来の殿堂入り選手のルーキー カードを購入することが、最もリスクの低いスポーツカード投資の1つの方法と言えます。
以下のような選手のカードがそれに該当します。
・マイク・トラウト
・クレイトン・カーショウ
・コービー・ブライアント
・ウェイン・グレツキー
・ラダイニアン・トムリンソン
など
重要なのはそれぞれのスポーツですでに圧倒的な地位を確立している、現在または将来の殿堂入り選手に焦点を当てることです。 特定のプレイヤーのカードに対する継続的な需要により投資のリスクが軽減されるため、この投資方法は、簡単であり、比較的リスクの低い投資アプローチとなるでしょう。
ルーキーカードについて
ルーキーカードは、その選手の最初に発行されたカードのことです。
通常はレギュラーカードを指し、サイン入りカードなどはルーキーカードの定義からは外れるとされています。
しかし、ルーキーカードの定義や認識にはさまざまなものがあるため、判別が難しいケースがあります。
メジャーリーグのカードの場合は、ルーキーロゴマークというものがあるため、これをルーキーカードかどうかの判断材料にするとよいでしょう。
年代にも注意して選ぶ
一方で、鑑定専門家のマイク・ブリーダンとスティーブ・ゴールドは、スポーツ・コレクターズ・ダイジェストで、
次のような指摘をしていることにも留意しましょう。
「最近選出されたほとんどの選手のカードは大量生産されたものなので、見つけるのが簡単なだけでなく、最高の状態のものも簡単に見つけることができます」(ゴールド氏)
「大量生産されたカードには実際には(相対的な)価値がなかったし、今後もそうならない可能性が高い」(ブリーデン氏)
つまり、すでに大量生産されているカードは、たとえその選手が今日賞を獲得したとしても、価値が急上昇する可能性は低いでしょう しかし、明日選出されるかもしれない今日の優秀な選手は良い投資対象となると言えます。
1985年以前のカードが理想的
1980年代から1990年代は、カード業者が乱立したことで供給が増えすぎて、殿堂入りしている選手のサインカード以外はあまり価値がないことが多いです。(その後、2000年代初頭にカードメーカー数社が倒産したとき、市場は回復しました。)
そのため、一般的に、1985年以前のカードの価値は、1986年から2016年のカードよりも高くなると言われています。
例えば、メジャーリーグのカードにおいて、1970年の新品に近い状態のToppsセット(アメリカのスポーツトレーディングカードの会社「Topps社」のカードのセット)を購入するのと、最近のルーキーカード100枚を買うのは、一般的には後者が人気ですが、前者はそれと同じくらい価値があります。
2009年に高校卒業後ナンバーワンの有望株としてランクされたブライス・ハーパーという選手の2011年のサイン入りルーキーカード(PSA10)は、現在約1,800ドル(2023年11月現在のレートで約27万円)で販売されています。対して、ウィリーメイズという選手の1952年のルーキーカード(PSA1)は3,555ドル(2023年11月現在のレートで約53万円)で販売されています。
PSAのグレードが大きく下がるにもかかわらず、約2倍の価値があるということは、供給数が限られたヴィンテージカードは、このようにリターンが大きくなることが見込まれます。(グレードについては後述)
ただし、1990年代以前のサイン入りカードは、サインの真贋を見極めることが事実上不可能であるため、評価には加わらないことが多いとされています。
なお、1960年代以前のカードについては、カードの状態が良いものであれば、価値があるかもしれません。カードの保存状態も、カードの価値に大きく関係するためです。
カードタイプにも注目する
ルーキーカード、サイン入り、リフレクター(カードが光っているもの)、シリアルナンバーが入ってるものなどが、通常のものよりも価値が高くなる傾向があります。
なお、シリアルナンバーが入っているものは、番号が小さいほど希少性のプレミアムを高めることになります。
過小評価されているカードを選ぶ
毎年何人かの選手のカードの価値が大幅に上昇します。そのため、現在過小評価されているカードを選ぶことができれば、より高い利益率が見込めます。
ただし、 過小評価されているカードを特定するためには、多くのデータと分析が必要です。
グレードの高いカードを選ぶ
世の中には、カードをグレーディングする会社がいくつかあります。有名なのは、PSA、BGS、SGCなど。こうしたカードグレーディング会社は通常0~10のレートをカードにつけます。カードを選ぶ際は、8あるいは9以上のカードに投資すべきでしょう。
なお、グレードが10のカードと7のカードでは、市場価値が大きく異なります。例えば、ポケモンカードの世界では、PSA7のカードの価値が、PSA10のカードの価値の約5%であることもあるのです。なお、グレードは、カードの状態で価格が決まる傾向があります。
好きな選手のカードを選ぶ
ここまで、選手の成績や人気、年代によって価値が変わると説明してきましたが、数多くあるカードの中からより価値の高いカードを見つけるのは大変な作業でもあります。
その場合は、好きな選手のカードを選ぶのも一つの方法です。
好きな選手の場合、その選手のパフォーマンスや動向などについて既に知見があるため、価値の予想がしやすいです。そして何よりも、保有することに魅力を感じることができます。
長期保有できるカードを選ぶ
スポーツカード投資は、基本的には、長期的に保有することで投資的にリターンの効果を期待できるものと考えるべきです。
著名投資家であるウォーレン・バフェット氏の「市場が10年間閉鎖されても、喜んで保有できるものをだけを購入せよ」という格言がありますが、カード投資においても基本的には同じ構造で、その選手のカードを5~10年間保有する覚悟があるかという観点で考えてみることが必要です。
好きな選手のカードであれば、長期保有もしやすいでしょう。
スポーツカードを売買するときのコツ
実際にスポーツカードを売買する際の、より具体的なコツも解説します。
ボックス買いよりもシングル買い
ボックス買いはカードパックを開封する喜びがありますが、何か特定のカードを見つけられる可能性が非常に低いです。そのため、目当ての選手やカードがある場合は、マーケットプレイスで直接目当てのカードを購入(シングル買い)した方がいいでしょう。
ポートフォリオのバランスに注意する
総資産の数パーセント以内に抑える
スポーツカード投資は、他のコレクタブル投資と同様に非常にリスクが高いので、総資産の数パーセント以内に抑えることが大切です。
スポーツジャンル・選手などをバランスよく選ぶ
複数のカードを購入する場合は、リスクを最小化するために、スポーツジャンル、選手などをバランスよくチョイスしましょう。例えば、スポーツジャンルなら以下のような観点でジャンル分けすることができます。
スポーツジャンル①:NBA、NFL、MLB、NHLの北米4大スポーツ
スポーツジャンル②:サッカー、F1、テニス、(スポーツカードにおける)新興スポーツ
殿堂入り75%・ルーキー25%の割合がおすすめ
メジャーリーグのカードにおいては、マイク・トラウトのルーキーカードや、ミッキー・マントルのような殿堂入り選手のカードは、スポーツカード市場での認知度や昨今の価格の上昇などからして、スポーツカード投資の中でも安定的なカードであると考えられます。
一方で、 トッププロスペクト(若手有望株)のカードやルーキーカードへの投資は、リアルタイムでの活躍を見ることができ楽しいものであり、値上がりも期待できますが、その分不確実性が伴います。
そのため、個人的な意見ではありますが、スポーツカード投資全体の割合は、殿堂入り選手や殿堂入りが予想される選手のカード(ルーキーだと尚良し!)を75%程度、プロスペクト、ルーキーカードを25%程度の割合で保有すると良いかもしれません。
保管にも注意する
カードの保存状態は、カード価値に多大な影響をもたらします。そのため、保管にも十分注意しましょう。
なお、カードの状態を判別するカードグレーディングが普及したことで、カードの状態が定量的に判断できるようになりました。カードのグレーディングには複数種類があり、PSA、BGS、SGCなどが有名です。カードのグレードには、0から10までのグレードがあり、カードの状態で価格が決まる傾向にあります。
グレードが10のカードと7のカードでは市場価値が大きく異なり、例えば、ポケモンカードの世界では、PSA 7のカードが、PSA10のカードの価値の約5%となるケースもあります。
長期投資の売買のコツ
スポーツカードに投資する際には、短期投資と長期投資の2つの方法があります。基本的には長期投資の観点で数年以上保有し続けたほうが、大きなリターンを得られることが多いです。。そのため、今後5~10年間で着実に上昇すると信じたスター選手や新興の新人に注目して投資を行うとよいでしょう。
長期投資の場合は、まずルーキーカードを購入し、選手が数シーズン良いシーズンを過ごした後にカードを売却すると、より多くのリターンが得られるでしょう。 超長期投資の場合は、選手が優勝して殿堂入りするまで待ってカードを売却しましょう。
短期投資の売買のコツ
短期投資では、次のシーズンで活躍する選手をシーズンオフに予想し、カードを購入します。シーズンの初めにルーキーカードを購入し、1年目が終わったらそのカードを売りましょう。これは、投資したカードの選手がシーズンの終わりに向けて賞を受賞した場合に特に効果的です。
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